
人気エリアの見つけ方
「どこに潜るか」でダイビングの満足度は大きく変わります。透明度や生物、地形の面白さ、移動時間や滞在のしやすさなど、評価軸を整理して選ぶと外しません。ここでは国内外の“定番かつ外さない”人気エリアを、目的別にわかりやすく紹介します。
選定の基準
・透明度(観察・撮影のしやすさ)
・生物の傾向(大物/マクロ/群れ/サンゴ)
・地形(洞窟・ドロップオフ・砂地)
・アクセス(移動時間、船の揺れ、現地の受け入れ体制)
目的別の考え方
・初めての遠征:ショップ数が多く海況の安定した場所
・カメラ派:被写体の密度とエントリー形式を優先
・大物派:潮通しの良い外洋系ポイントや回遊ルート重視
国内・沖縄エリアの王道
沖縄は水温・透明度・生物の豊富さのバランスが抜群で、初遠征からリピーターまで幅広く支持されています。島ごとに表情が違うため、目的に合わせて選べるのが魅力です。
慶良間諸島(那覇発/座間味・阿嘉)
“ケラマブルー”の高い透明度と砂地×サンゴの王道風景。ウミガメ遭遇の期待も高く、ボート移動で多彩なポイントを回れます。初遠征にも好相性。
恩納村・青の洞窟(沖縄本島)
本島滞在の利便性と地形の面白さを両立。ドロップオフや洞窟、浅場のサンゴまでバランス良く楽しめます。非ダイバー同伴の旅行にも向きます。
宮古島(下地・伊良部の地形)
アーチやホールなど地形天国。光の差し込みが作る景観は格別で、フォト派に人気。中性浮力が安定していると満足度が一気に上がります。
石垣島・西表島・与那国
マンタのクリーニングステーション(季節/条件あり)や、ダイナミックなドリフトが魅力。与那国は外洋の迫力ある流れや地形が楽しめ、上級者に人気です。
本州・四国の名ポイント
都市圏からのアクセスしやすさと、季節による変化の豊かさが魅力。マクロ生物や回遊魚、群れ系ポイントなど“通う”楽しさがあります。
伊豆半島(東伊豆/西伊豆)
伊豆海洋公園のドロップや雲見の洞窟、田子の群れなど多彩。ショップ・宿・レンタル環境が整い、年間を通して学びと発見がある王道エリアです。
伊豆七島(大島・八丈島ほか)
溶岩地形とクリアな潮、回遊魚のチャンス。週末遠征で“島の海”を手軽に味わえます。八丈はワイド、神津・式根は地形・砂地も魅力。
房総・館山周辺(伊戸など)
ドチザメやアカエイが集まる迫力の群れ、ワイド派に人気。黒潮の分岐で透明度が跳ねる日も。冬はドライスーツで快適に。
紀伊半島・串本/須江
日本最北のテーブルサンゴ群落や内浦ビーチの群れなど、季節で色が変わるエリア。水中の色彩が豊かでフォト派の学びに最適です。
四国・柏島
“マクロの聖地”として名高く、レア生物の宝庫。ピンポイントの被写体探しと丁寧なホバリングで、撮影の精度が一段上がります。
北海道・東北・九州の個性派
“あの海ならでは”の魅力に会いに行く旅。季節や装備の準備は必要ですが、唯一無二の景色と生物相が待っています。
北海道・積丹/知床
夏のクリアな潮、冬のドラマチックな景観。冷たい海に適した装備で、北の海ならではの生物観察と雄大な地形を楽しめます。
東北・三陸
豊穣な海が育む群れとドラマ。湾内・外洋で表情が変わり、季節の移ろいを感じられます。地域ならではの文化と食も魅力。
九州・長崎/天草/鹿児島
温暖な海と多彩な地形、マクロからワイドまでレンジが広いエリア。ボート/ビーチの選択肢も豊富で、旅の自由度が高いのが特徴です。
海外の“鉄板”人気エリア
海外は“非日常の規模”が魅力。透明度の高さ、サンゴ礁のスケール、外洋回遊魚の迫力など、国内とはまた違う体験が待っています。移動時間やシーズンを踏まえて計画しましょう。
セブ(フィリピン)
マクロからジンベエの出会いまで幅広く、ショップ・宿の選択肢が豊富。初海外にも組み立てやすい人気エリアです。
バリ島/ヌサペニダ(インドネシア)
地形・群れ・マンタのチャンスがあり、リゾート滞在の満足度も高い。潮が動くポイントはドリフトの醍醐味を味わえます。
パラオ
外洋のダイナミズムとドロップオフ。ブルーコーナーの流れに乗る瞬間は忘れがたい体験。ワイド派の憧れとして不動の人気。
モルディブ
環礁の地形と回遊魚、リゾートステイの非日常。クルーズ型で複数エリアを回ると満足度が上がります。
グレートバリアリーフ(オーストラリア)
世界最大級のサンゴ礁。広大なエリアゆえ、日程と目的を明確にしてルートを選ぶのがコツです。
紅海(エジプト)/メキシコ(コスメル・ラパス)
高い透明度と色彩豊かな珊瑚、外洋の迫力。メキシコは群れと大物、砂地のコントラストが美しく、フォト派の被写体が尽きません。
シーズンとベストタイミング
同じ海でも季節で表情が変わります。透明度重視か生物重視かで狙い目が変わるため、目的に合わせた時期選びがポイントです。
透明度を狙う
黒潮・季節風・雨量の影響でクリアな日が続くタイミングを選ぶと、ワイド撮影が捗ります。現地ショップの“今年の傾向”も参考に。
生物・イベント狙い
マンタの回遊、産卵、群れの集結など、季節限定の“当たり日”があります。無理なく複数日程を確保し確率を上げましょう。
滞在の組み立て方
移動とダイブスケジュールのバランスが快適さを左右します。無理のない本数と休息を取り入れ、旅全体の満足度を高めましょう。
スケジュールの基本
・到着日は軽めorノーダイブで体調調整
・2〜3日目にメインポイントを集中配置
・最終ダイブ後は十分な休息を確保(フライト間隔に配慮)
持ち物の最適化
・必携:認定カード、ログ、保険証・海外は英語版保険情報
・快適装備:フードベスト、ボートコート、曇り止め、クリップ類
・撮影派:予備Oリング、乾燥剤、バッテリー管理
目的別“ここがハマる”早見表
行き先に迷うときは、自分の“今の楽しみ方”で絞ると決めやすくなります。以下は汎用的なマッチング例です。
初心者・久しぶりの方に
慶良間、恩納村、伊豆の定番ビーチポイント。講習後のファンダイブに最適で、船酔いが心配なら近場・凪の時間帯を選ぶと安心です。
カメラ派(マクロ/ワイド)に
マクロ:柏島、伊豆の一部、フィリピン諸島
ワイド:宮古地形、石垣のマンタ、パラオ外洋、モルディブ環礁
地形・ドリフトを楽しみたい方に
宮古のホール、雲見の洞窟、紅海・パラオのドリフト。中性浮力とチームワークを整えて臨むと充実度が跳ね上がります。
まとめ:自分の“今の目的”で選べば失敗しない
人気エリアには必ず“選ばれる理由”があります。透明度、生物、地形、旅のしやすさを自分の優先順位で並べ替え、シーズンと安全計画を整えれば、どの海も最高のステージに変わります。次の一本で、あなたの“好き”にいちばん近い海へ会いに行きましょう。
